「自分の進むべき道がわからない」 「未来を思うと不安で、過去を振り返ると悔やまれる」
そんなふうに、心がどこにも落ち着けず、漂っているように感じることはないでしょうか。 進む方向が見えないとき、私たちはつい「どこか遠く」に答えを探してしまいます。けれど、本当に必要なのは、遠くを見渡すことではなく、今立っている「足元」を確認することかもしれません。
古くから大切にされてきた「正中(せいちゅう)」という言葉には、揺らぎやすい私たちの心を、本来の位置へと連れ戻してくれる智慧が宿っています。
「今」という、すべての中心
日本神話の始まりにおいて、真っ先に現れた神様は「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」という中心を司る神様でした。
この「中心」こそが、私たちが今この瞬間を生きている「現在」そのものです。
私たちの心は、放っておくと「未来(陽)」へ広がって不安を膨らませたり、「過去(陰)」へと沈み込んで自信を失ったりしてしまいます。未来や過去に意識が逸れすぎると、心の軸はぶれ、バランスを崩してしまいます。
大切なのは、広がった意識を一度、自分の中心へと引き戻してあげること。 過去でも未来でもない、「今」という中心に意識を置くことで、波立った心はしんと鎮まり、本来の自分らしい感覚が戻ってきます。
暮らしのなかで、軸を整える
「正中」を整えるといっても、難しい修行は必要ありません。 日々の何気ない所作をひとつだけ、丁寧にしてみる。その小さな積み重ねが、あなたの心の軸を太く、確かなものにしてくれます。
- 呼吸の重みを感じる 不安が胸をかすめたら、深く吐き、深く吸ってみる。自分の身体に空気が入る感覚をただ味わうだけで、意識は自然と「今」へと還ってきます。
- 目の前の「ひとつ」に触れる お茶を淹れる、道具を拭く、靴を揃える。その瞬間の手の感触や音にだけ意識を向けてみます。
「今、自分はここにいる」という確かな手応え。その繰り返しが、外側の騒がしさに左右されない、静かな納得感(安心感)を育んでくれます。
大丈夫、という納得感
人生の方向性とは、無理に決めるものではなく、整った心のあとに自然と現れてくるものです。
「今、この瞬間を丁寧に生きている」という安心感のなかに身を置くとき。 あなたは誰かに教わらなくても、「次はあちらへ進もう」という微かな、けれど確かな予感を受け取れるようになります。
答えを急ぐ必要はありません。 まずは、今の自分を慈しむ時間を持ってください。
そのひとときが、あなたの人生を本来あるべき調和へと導いてくれるはずです。

