三種の神器。八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)。
これらは、古くより皇位の象徴として大切に受け継がれてきた神聖な宝物ですが、同時に、現代を生きる私たちの「心」と「暮らし」を整えるための、深い智慧として捉えることもできます。
私たちの毎日は、時に慌ただしく、自分を見失いそうになることもあるかもしれません。そんなとき、この三つの神器が象徴するエネルギーをふっと思い出すと、波立った心が静まり、自分の中に確かな「安心」の居場所を見つけることができます。
今日は、神話の智慧を借りて、今の暮らしを調和させていく考え方をお伝えします。
八咫鏡(やたのかがみ)|「我」を抜き、今の自分を見つめる
天岩戸神話において、天照大御神が自らの姿を映し出した鏡。 鏡は、美しさも、あるいは影さえも、ありのままに映し出します。
「鏡(カガミ)」から、中心にある「我(ガ)」を抜くと、「神(カミ)」になると言われます。自分を良く見せようとする執着や、他者と比べる「我」をそっと脇に置いたとき、鏡に映るのは、本来のあなたの澄んだ光です。
たとえば、朝の身支度で鏡に向かうとき。しっかりと自分の姿と向き合う。ほんの数秒でも構いません。その一瞬の所作が、自分を尊ぶという安心感に繋がっていきます。
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)|命のゆらぎと、調和の結び
勾玉の独特な曲線は、胎児の形とも、月の形とも言われ、古来より命の躍動と「結び」を象徴してきました。 この宝物は、私たちの心や体が波のように揺れ動くのは、とても自然なことなのだと教えてくれます。
常に一定で、満たされている必要はありません。満ち欠けする月のリズムのように、今の自分の状態をそのまま受け入れ、呼吸を合わせていく。
力を入れすぎないこと。深呼吸をして、息を深く吸い込んでみる。そんな何気ない瞬間に意識を向けるだけで、心身の結びつきが深まり、外側の刺激に左右されない、安心感が内側に生まれます。
草薙剣(くさなぎのつるぎ)|迷いを断ち、清々しく歩む
スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した際に現れたこの剣は、私たちの内側にある「意志」の象徴です。 それは決して誰かを傷つけるためのものではなく、自分の中にある「恐れ」や「依存」といった、今の自分にはもう必要のないものを手放すためにあります。
迷いを断ち、自らの足で立つ。その決断は、人生に「清々しさ」という最高の安心をもたらしてくれます。
一日の終わりに、不要なものを手放す。感情でも物でも、そんな小さな手放しの積み重ねが、「自分の人生を自分で選んでいる」という、凛とした感覚を育んでくれるはずです。
あなたは、そのままで「大丈夫」
三種の神器は、どれか一つが優れているのではなく、三つが揃って初めて、完全な調和を保ちます。 自分を見つめ、調和を愛で、意志を持って道を選ぶ。
この三つのバランスが整ったとき、人は「なぜ生きているのか」という問いに対し、言葉を超えた、腑に落ちるような感覚に出会うことがあります。
人が本当に求めているのは、大きな刺激ではなく、ただ「自分は自分でいいのだ」と思える、安心感だと考えています。

